住職、加藤良光の短歌・平成26年

 

平成二十六年元日

平成の二十六年とし初め人のつながり大事にしよう

双子座の中で輝く木星を仰いで見たね一月の夜

芹薺七草粥を食べる朝君の笑顔に僕もこたえる

朝日射す一月七日伊吹山寒空の青山頂の白

白線と鉄紺色が交差する縞の模様の冬の富士山

一月の夕暮れ時の富士山は谷線ごとの雪が綺麗だ

 


増上寺朝粥会

一月の二十四日の増上寺南無阿弥陀仏粥を頂く



 

千鳥ヶ淵墓苑

名前あるしかし今では判らない遺骨に向かい読経念仏



 

浅草寺

浅草寺本堂前の大香炉人に倣って煙りを掛ける



 

歌舞伎座

歌舞伎座の四階立ち見一幕が一期一会の記憶となった

冬の陽に光る頂上伊吹山肩幅広い武人のようだ



 

(無題)

並木道小春日和の中歩く桜木肌がつやつやしてる

節分の朝の七時に霧笛聞く豊橋港はここより二キロ

節分の夜の豆まき君と僕互いに撒いて互いに拾う

大垣の寺に集まり詠唱の講習受ける人の笑み顔

大垣の町から見える伊吹山雪の白さと空の青色

歩こうよ菜の花畑二人道マフラーはずし手袋取って

真ん丸の梅の蕾がはじけそう君は急いで私を呼んだ

松阪の樹敬寺に来て詠唱の仲間とともに一日稽古

ひな祭り薄紅色の桃の花今日は二人でゆっくり見よう

三月は彼岸桜の咲き始め君の笑顔も増えてきている

グランドの桜の花が満開だソフトボールの女子の歓声

二部咲きの桜の下を歩いてる赤ちゃん抱いた人の笑み顔

専念寺岡田正明上人の笑顔に向けて南無阿弥陀仏

曇り空四月半ばの伊吹山ほのかに見える若草の色

滋賀平野桜満開花霞み田中の畦も川の堤も

春祭り村の鎮守の鳥居横昔ながらの幡が立ってる

たくさんの八重山吹の花びらが微笑みながらこちら向いてる

朗々と御忌唱導の声響く三百人の僧のただ中

街路樹の栃の若芽が吹き出したその勢いだみんな頑張れ

萌えている五月一日伊吹山これから進む緑の動き

子供達田植えのあとの畦道をゆっくりゆらり歩いているよ

芍薬のピンクの花が咲いている君は指差し僕は頷く

水光る五月半ばの滋賀平野初夏の日差しにおおわれている

豊橋の城跡に建つ隅櫓五月の日差し受けて輝く

あれ東三河県庁看板はおかしいですと受付に言う

増上寺会館ロビー月見草強く咲けよとエール送ろう

合歓の木の薄紅色の花がいい小雨の中を光り咲いてる

六月は緑の色の滋賀平野麦藁帽の男が歩く

六月の二十二日の知恩院選択集を声出して読む



 

(無題)

西宮駅より北の観音寺三宅先生夫妻を招く

作曲のゆかり霊心先生と三宅先生その訳を聞く

震災の見舞い霊心先生は三宅先生家を訪ねる

作曲の三宅先生前にして光明摂取和讃唱える

緑田と麦刈りあとの滋賀平野農道走る自転車の列

薄緑六月末の伊吹山梅雨雲掛かるそれもまたいい

和歌山の湊のお寺永禅寺尊父の通夜の列に加わる

短冊に思いをこめて書きました自分のこともみんなのことも

梅雨空の伊吹の山の深緑天一面の白に負けない

台風の進行予想その土地に住んでる君の今夜はどうか

七月の梅雨雲の中伊吹山緑の色も今は隠れた

窓の外緑田続く滋賀平野二十六年梅雨明けの朝

揺れている赤い花房百日紅僕の心も少し揺れてる

夏夕べ白粉花が咲いている子供時代の楽しい玩具

夏の陽をたっぷり浴びた向日葵を君にあげよう一本二本

玄関に日日草が咲いている今年の夏は何を話そう

花小粒薄い黄色の女郎花庭に見つけて嬉しくなった

秋初め歩道に咲いた玉簾その花言葉汚れなき愛

秋空の二十六年増上寺詠歌唱えて同信となる

この匂い金木犀の贈り物頂きましたと軽く一礼

秋晴れの伊吹の山が美しい澄んだ青空緑の裾野

知恩院六十三回大会は手話の奉納こころ奉納

紅団扇アンスリウムの花の名を間違えていたあの秋の夜

京都では貴船菊の名道端に秋明菊がそっと咲いてる

藤袴薄紫の小花草図書館脇の道に咲いてた

石蕗のすっくと立った花姿淡い黄色が凛としている

少しずつ紅く色づく桜葉が季節の変化感じさせてる

柿の実の色が綺麗だこのあたり中央本線美濃の町々

美濃の国中津川駅高福寺詠唱人と紅葉を歌う

石柱と詠歌の額を指し示す海辺の札所報恩講寺



 

(無題)

竹内街道沿いの道標大阪講の文字を確認

本堂は修理工事の奥院宝物館の曼陀羅を見る

住職の浮き足弥陀の法話聞く香久山麓霊場の朝

東大寺ゆかりのところ指図堂祖師の御影の前で詠唱

東大寺大仏殿は真言の青年僧の記念法要

日の丸の名号拝む欣浄寺門の近くに石柱五本

花瓶には竜胆の花挿してある青紫の色が綺麗だ

きらきらと朝日に光る黄色の葉銀杏並木は思い出並木

大垣の桜紅葉の円通寺新人迎え詠歌講習

吉水の詠唱舞を稽古する秋の大垣フォーラムホテル

伊賀上野文化会館舞台上皆でお唱え来迎和讃

歩道には銀杏の落ち葉積もってる始めていこう冬の支度を



 

自らの還暦を詠んで

ジャイアント馬場は真紅のトランクスリングの上だ常に現役



 

詠唱三河大会

豊田市の福祉センター会場に年に一度の大会開く

窓辺には赤紫のシクラメン今朝は静かに歌っていよう

山茶花が道の植え込み咲いている薄桃色の花が可愛い

東海の地区の会議に参加して焼津の夜の景色眺めた

玄関の土間の片隅鉢植えのポインセチアの赤が冴えてる

雪山の名前聞いてる子供たち母は答える伊吹山だよ

冬の朝漁船が戻る石鏡港悠々として鳶が飛んでる

十二月名古屋の街の雪景色白い公園跳ねてる子供

歳の暮れ大阪梅田駅近くスタジオの中詠歌唱える

新しい心気持ちで踏み出そう二十七年最初の一歩

黒豆とたたきごぼうと田作りを小皿に分けて新年祈る

新年は優しく咲いた福寿草黄色の花が幸せ運ぶ

水仙はすっくと立って白い花強さ優しさ二つ持ってる

冬の夜オリオン星を見上げてる挙げたこぶしをそのままにして