住職、加藤良光の短歌・令和3年〜

 

令和元年から令和2年に詠んだ短歌の続き

大輪の皇帝ダリア見上げてる薄紫の花弁清しい

知恩院阿弥陀堂前冬桜参拝客も少し微笑む

枝先の真白のタネが物語る南京黄櫨の今年一年

ささやかにそっと咲いてる水仙の白い花びらそれを待ってた

十二月新幹線のデッキ立つ窓から見える夜の工場

 

冬枝に黄色熟した花梨の実幾つもあってそれも一景

枯れ枝に艶々光る黒い実が白山吹の冬の変相

参道の植え込みそこに車輪梅黒紫の実を愛でる

冬千両の赤い実を見て立ち止まる人の行き交う寺の参道

クリスマスソングを歌う集団の横を歩いて大橋渡る

新門に白い山茶花咲いている令和元年歳末の朝

錦木の枝の翼が見える頃ひとつ残った赤い実がいい

冬庭に馬酔木の蕾垂れている開花の春を思い描こう

 

白川に柳落葉の朝が来た行者の橋も細文字模様

莢蒾の赤い実を見て嬉しがる少女のような君が好きだな

知恩院令和元年十二月三十日は餅つきの音

中学の同窓会に出て見れば懐かしい顔昔を語る

蝋梅の甘い黄色の花が咲く令和二年の一月四日

鮮やかな青葛藤その実には毒が有りますそれも誘惑

石蕗の綿毛の姿並んでるふっと吹いてる君を想像

三叉の花の蕾が待っているじっと静かに春が来るまで